林知恵と宮本深は声を聞いて工作室の入り口まで歩いてきた。
来訪者を見ると、直方来美の兄だった。
彼の後ろには親戚一同が続いていた。
先頭にいたのは直方来美の母親だった。
直方の母は入り口の階段に直接座り込んだ。「草刈栞を出せ!」
林知恵は少し不思議に思い、隣の男性の方を振り返った。
彼は冷たい目で起きていることすべてを見ていたが、少しも驚いた様子はなかった。
「三男様、何か説明することはないのですか?」
「少し警告を与えただけだ」宮本深は平然と言った。
林知恵はじっくり考え、理解した。
「つまり、誰かが彼を使って直方来美を殺し、その人物は工作室にいるということですね」
「そうだ」
言い終わるや否や。
工作室の入り口でガラスが割れる音が響いた。
直方来美の兄は入り口にあった芸術品を持ち上げ、ガラスのドアを壊し、さらにショーケースまで叩き壊した。