林知恵と宮本深は少し離れたところに立って様子を見ていた。
草刈栞は最終的に救急車で運ばれたが、普段から彼女と仲の良かった同僚たちは誰も付き添う勇気がなかった。
結局、雪村真理が白川若菜に様子を見に行くよう言い渡した。
同僚たちはようやく安堵のため息をついた。
しかし林知恵の表情はわずかに引き締まった。雪村真理が白川若菜を行かせたのは草刈栞を心配してのことではない。
草刈栞の口を封じるためだった。
その様子を見て、林知恵はため息をついた。
「わかったか?どうするつもりだ?」宮本深が尋ねた。
林知恵は唇を引き締めて言った。「草刈栞はもうダメみたいね。でも...彼女たちは大丈夫なはず」
「ああ」
宮本深は彼女を見下ろし、次の言葉を待っているようだった。
林知恵はしばらく躊躇した後、ゆっくりと言った。「もう少し考えさせて」