林知恵はぼんやりと席に座っていた。
頭の中にはたくさんの光景が浮かんでいた。彼女が生まれ変わってデザインの道を歩み直そうと決めた時から、彼女は雪村真理を自分の目標としていた。
大学卒業時の新人コンテストで、彼女が雪村真理を見た時の興奮は今でも覚えている。
初めてスタジオに足を踏み入れた時、どちらの足が先に入ったかまでもはっきりと覚えていた。
彼女はずっと、自分がついに夢に向かって歩き始めたと感じていた。
二人で協力して悪人を捕まえたり、地下バーで一緒に酔っ払ったりした。
先輩のように仕事のやり方や人としての在り方を教えてくれた。
また、彼女と宮本深のことを心配し残念がってくれた。
師であり友でもある人も変わることがあるのだと。
今、林知恵の気持ちは複雑だった。
人生をやり直しても、人か鬼かの区別は依然として難しい。