第31章 彼と彼女の過去の時間(1)

その時、常盤燿子は高校一年生の前期を終え、冬休みに入っていた。春節が過ぎた後、上杉琴乃から電話があり、スケートに誘われた。

到着してみると、上杉琴乃の他にも数人の男子がいることがわかった。柊木誠一が連れてきたのだ。

その中に彼もいた。

最初、常盤燿子は有栖川涼に気づかなかった。柊木誠一の紹介で、彼が連れてきた男子たちと一人ずつ挨拶を交わした後、上杉琴乃に引っ張られてスケート靴を履き替えようとした時、振り返ると、彼が壁に背をもたせかけ、口にタバコをくわえ、ライターで火をつけようとしているのが見えた。

常盤燿子がこれは偶然の出会いだと思っていた時、柊木誠一が口を開いた。「涼さん、こちらは俺の彼女の同級生、常盤燿子だよ」

有栖川涼は柊木誠一の言葉を聞いても急いで返事をせず、目を伏せたままタバコに火をつけ、一服吸ってから、形にならない煙の輪を吐き出しながら、顔を横に向け、彼女が立っている方向をちらりと見た。