第45章 暴かれた策略（5）

常盤燿子はこれほど痛がっていたので、菅野千恵がどれほど不満でも、彼女を無理に引き留めることはできず、別の考えを巡らせるしかなかった。「沙羅さん、一人で大丈夫？階段まで送ろうか？」

菅野千恵と有栖川涼は親しくなく、二人が話したことがあるとしても、それは和泉沙羅との関係があったからだ。もし和泉沙羅がいなくなれば、菅野千恵は有栖川涼に話しかける口実を見つけられなくなるだろう。

常盤燿子は菅野千恵がまだ諦めておらず、彼女を階段まで送る機会を利用して、途中で有栖川涼に出会えないかと考えていることを見抜いていた。

もし彼女が承諾したら、彼女が先ほど苦労して練った計画は無駄になってしまうのではないか？

「大丈夫よ」常盤燿子が菅野千恵を断る方法を考えていたところ、中村おばさんがトレイを持って通りかかるのを見た。彼女は考えることなく中村おばさんを呼び止め、菅野千恵に優しく微笑みかけた。「千恵、中村おばさんが私の面倒を見てくれるから、あなたに迷惑をかけることはないわ」