第67章 一夢八年、全ては彼の顔(7)

常盤燿子は足を止め、頬を膨らませ、振り向こうとして、彼に怒って言おうとした。「いつもかまちょ姫って呼ぶのやめてくれない?」

しかし彼女がその言葉を口にする前に、彼は言った。「来週の水曜日に入隊するんだ。」

常盤燿子の振り向く動きが、瞬時に止まった。

入隊……兵士になるということ?彼は高校を卒業して、大学に行かずに、兵士になるの?彼が彼女に語ったあの夢は、単なる夢ではなく、彼が本当に実現しようとしていることだったのだ。

しばらくして、常盤燿子はようやく我に返り、ゆっくりと有栖川涼の方を見た。さっきまで怒って言おうとしていた言葉は、「入隊」という二文字に頭から押し出されていた。

常盤燿子が有栖川涼を見たとき、有栖川涼はちょうどタバコの煙を吐き出したところだった。もやもやとした煙が彼の顔を隠し、燿子には彼の表情が見えなかった。彼の声は、澄んでいて優雅で、夜空の下で特に心地よく響いた。「一度行ったら五年、少なくとも五年は東京に戻れない。」