第136章 謎の手紙(6)

しかし彼女はずっとその人と、手紙のやり取りで連絡を取り続けていた。

そして、それはほぼ7年もの間続いていた。

恥ずかしながら、彼女はその人と7年間も連絡を取り続けていたにもかかわらず、その人のことをよく知らなかった。彼が軍人であること、そして男性であること以外は、他の情報は一切知らなかった。名前や年齢といった最も基本的なことさえも知らなかった。

しかも、彼が軍人であることや男性であることさえ、3年前に彼が手紙の中でふとそれに触れたことで初めて知ったのだった。

最初の手紙は彼から彼女に送られてきた。当時彼女は寮生活をしており、宛先は彼女の寮のベッド番号だけで、名前は書かれていなかった。

その頃の彼女は高校2年生の後期で、有栖川涼に約束を破られてから10ヶ月以上が経っていたが、まだ立ち直れていなかった。だから、その手紙を受け取った時、最初は普段受け取るラブレターと同じだと思い、あまり気にせず、適当に本の間に挟んでしまっておいた。