第213章 彼の一日一日の変化（3）

有栖川涼はオフィスデスクに寄りかかり、書類を丁寧に読んでいた。彼は常盤燿子と会話せず、もともと静かだったオフィスはさらに静寂に包まれた。

約5分後、中村さんがお茶を一杯持って入ってきて、丁寧に優しく常盤燿子の前に置いてから、有栖川涼の側へ歩いていった。

オフィスはしばらくまた静かになり、有栖川涼はようやく書類をデスクに戻し、サインペンを取って、身を乗り出して署名した。

中村さんが書類を抱えながら、有栖川涼に一言注意した。「有栖川さん、皆さんはすでに会議室でお待ちです。」

有栖川涼は淡々と「ああ」と返事し、常盤燿子の方を向いた。「会議に出なければならない。ここで待っていてくれる？」

彼女一人をオフィスに残すなんて、家にいるのと同じで、ぼんやりと時間を過ごすだけではないか？