第284章 あの手この手で探る(4)

常盤燿子は救いの藁を見つけたかのように、考えることもなく有栖川涼を押しのけ、もごもごと「ご飯だよ」と言い残すと、床に落ちた服を拾い上げ、急いで身につけ、バッグを取ると書斎から飛び出した。

有栖川涼は彼女が慌てて逃げる後ろ姿を見つめ、思わず唇の端に笑みを浮かべた。隣の主寝室のドアがバタンと閉まるのを待ってから、ゆっくりと身をかがめて自分の服を拾い、書斎の洗面所へ向かった。

……

有栖川涼が階下に降りると、常盤燿子はすでにダイニングテーブルに座り、家政婦と話していた。何か楽しい話をしていたのか、目元まで笑みを浮かべていた。

しかし、家政婦が礼儀正しく「有栖川さん」と言うのを聞くと、彼女は素早く振り向いて彼を一瞥し、すぐに顔を赤らめて俯いた。

恥ずかしがっているのだろうか?