第439章 私は一つの未来しか思いつかない(9)

彼女の服はすべて京都にあり、常盤燿子は春節後に東京に戻る際、多くの荷物を持ち帰ることになるだろうと考え、スーツケースの中身をできるだけ少なくしようとした。

常盤燿子は荷物を整理する際、持ち帰らないものをベッドの上に投げ出した。

疲れていたため、彼女はそれらをまとめて抱え上げ、適当に棚に詰め込んだ。シャワーを浴びて寝ようとしたところ、数歩歩いただけで床に四角い小さな贈り物の箱が落ちているのを見つけた。

彼女の足取りは突然止まり、その箱をしばらく見つめてから、身をかがめて拾い上げた。

開けなくても、それが有栖川涼の別荘の裏庭で拾った指輪だとわかっていた。

先日和泉沙羅と交換した時、スーツケースにまだ指輪が一つあることを忘れていた。

常盤燿子は床にしゃがみ込み、しばらく呆然としていたが、やがて立ち上がり、箱をベッドの上に置いて洗面所へ向かった。