第442章 忘れられない深い愛(2)

あれは彼がわざわざイギリスに行って、有栖川涼のために特注した指輪ではないか?

どうして宅配便で彼の手元に届いたのだろう?

あの指輪は、彼が和泉沙羅の身代わりのために買ったものだ……もしかして、その身代わりが返却してきたのだろうか?

なるほど、だから彼はさっきあんなに慌てて出て行ったのか……きっとその身代わりの情報を探りに行ったのだろう。戻ってきた時の表情があんなに平静だったのは、何も得られなかったからに違いない……

陸田透真は有栖川涼が真剣に書類を見ている様子をしばらく見つめてから、尋ねた。「今夜も行く?」

「どこへ?」有栖川涼は書類に目を落としたまま、何気なく聞き返した。そして陸田透真が夕食のことを指していると気づき、頷いて、やはり淡々とした口調で言った。「行くよ」