陸田透真は有栖川涼を一瞥し、彼が何か話したいことがあるのを察して、頷いて答えた。「いいよ」
有栖川涼は何も言わず、前方の交差点で曲がり、フォーシーズンホテルへと車を走らせた。
……
未明のホテルのカフェには、数人のスタッフ以外、誰もいなかった。
カフェでは穏やかな音楽が流れ、有栖川涼と陸田透真は一人ずつスタッフについて窓際のテーブルへと向かった。
席に着くと、スタッフがドリンクメニューを差し出したが、有栖川涼は見ずに直接陸田透真に注文するよう促した。
かなりお酒を飲んだ陸田透真は胃の調子が少し悪く、紅茶を一杯注文すると、有栖川涼も「同じものを」と言った。
スタッフが去ると、陸田透真は腰の後ろのクッションを調整し、快適な姿勢で座り直してから口を開いた。「明朝の飛行機?」