024章 新任藤崎取締役、彼なの?(一)

翌朝、星野夏子はいつものように目を覚まし、身支度を整え、簡単な朝食を済ませると、重い書類カバンと自分のハンドバッグを持って出かけた。

駐車場で車を取りに行くと、昨日藤崎輝が投げてよこした黒いコートがまだ助手席に静かに置かれていることに気づいた。星野夏子は眉をひそめ、昨日彼にコートを返すのを忘れていたことを内心後悔した。

少し迷った後、結局コートを袋に入れ、書類カバンとハンドバッグを隣の席に放り投げて、車を発進させた。

車は清川グループに向かって疾走していった。道中、星野夏子は道の両側をずっと探し、近くにクリーニング店がないか探していた。やっとのことで一軒見つけることができた。

「お洋服はいつ頃取りに来れますか?」

星野夏子は店主から渡された小さな領収書を受け取りながら尋ねた。

「明日には取りに来られますよ、お嬢さん」

店長は微笑みながら答えた。

星野夏子はうなずいた。「ありがとうございます。明日の夕方に取りに来ます」

領収書をポケットにしまうと、素早く車に戻った。時間がかなり切迫していた。クリーニング店を探すのに大回りしてしまったとは。間に合うといいが、清川で働いて何年も経つが、彼女は一度も遅刻したことがなかった。

そう思いながら、車のスピードを上げた。

その頃、瑞穂市北城区の最も繁華なドール大通りの中ほどには、雲に届くほど高くて壮大な超高層ビルの前に、黒いスーツを着た五人の男性と同じく制服を着た二人の女性が恭しく立っており、誰かを待っているようだった。

会社に入る社員たちは皆、驚いて目を見開いていた。この七人はみな会社のトップクラスの存在で、三人の副社長と四人の上級監督だった。普段はほとんど見かけることのない彼らが、今日は揃って玄関前に現れていたのだから驚きだった。まるで何か大物が来るようだった。

「ねえ、新しい藤崎取締役が就任するって聞いたよ。そうでなければ、副社長たちや監督たちが自ら出迎えるなんてことあるわけないじゃない?」

「そうよ、若様が来るのよ。それに彼が海外から連れてきたエリートブレーンたちも。みんな金髪碧眼のイケメンばかりなんですって!楽しみだわ!」

「そうそう!若様がどんな風に見えるのか本当に見てみたいわ。若様は天人の姿をしていて、瑞穂市公認のイケメンだって言われてるわ。どんな女性が好みなのかしら…」