025章 新任藤崎取締役、彼なの？（二）

すぐに、門前の人々は最速でその白い影を追いかけた。

しかし、一団が姿を消してからそう経たないうちに、星野夏子は急いで重そうな書類カバンを持って会社に入った。

時刻はすでに9時を過ぎており、これまで彼女が遅刻したのは初めてのことだった。しかも新任の取締役が就任する初日という特別な日に。願わくば、新しく来た藤崎取締役があまり彼女を難しい立場に追い込まないことを願うばかりだ。

ため息をつき、星野夏子はそれ以上考える余裕もなく、書類カバンを持って最上階から二つ下の57階の役員会議室へと直行した。

その時、57階のシンプルながら豪華で広々とした役員会議室では、長い会議テーブルの周りにすでに人が揃っており、雰囲気はやや重苦しく緊張していた。

全員が上座に座る高貴で美しく、どこか冷淡な若い男性を見つめていた。彼は今提出されたばかりの会社が進行中の大型プロジェクトに目を通しており、表情は淡々としていて感情を読み取ることができず、皆の心の中には不安があった。