夕食を終え、レストランから出てきた時、外の灯りはちょうど華やかに輝いていた。風が強く、冷たく、夜空はどこか重苦しく深く沈み、空気には湿気が漂っていた。
立春を過ぎた日々、瑞穂市は南寄りの都市なので、毎年立春の後にはこのような天気が続く時期がある。今年の春は例年より早く訪れ、この季節は星野夏子の好きな季節ではなかった。
少し諦めたように車窓の外に降り注ぐ細かい雨を見上げ、しばらくして、星野夏子は突然、隣で集中して車を運転している男性の方を振り向いた。車内はとても静かで、二人の呼吸音がかすかに聞こえるほどだった。
「音楽でもかけましょうか」
星野夏子が突然口を開いた。
「CDは下の収納に全部ある」藤崎輝は低い声で答えた。
星野夏子は身を屈め、収納を開け、手当たり次第に一枚を取り出し、プレーヤーを開けてCDを入れた。すぐに、プレーヤーからどこか遠くに感じる歌声が流れ始めた。
曲はとても馴染みのある、古い古い歌で、玉木宏の『千千の歌』だった——
ゆっくりと振り返る二人のものだった夜を
赤く輝くのはあなたが私にくれた心の太陽
流れる愚かな涙は理解と許しを願う
明朝の別れ、あなたの道は孤独で長いかもしれない
……
来る日も千千の歌が
遠くへ私の道に漂っても
来る日も千千の星が
今宵の月より明るく輝いても
この夜の美しさには及ばない……
……
なぜか、その歌声を聴いていると、星野夏子の心にはなんとも言えない苦しさが湧き上がってきた。曲が終わりに近づいた時、彼女は思わず手を伸ばしてリピートボタンを押した。
「見たところ、君も懐古趣味の人間だね。一曲の歌だけで、そこまで共感できるものなのか?」
しばらくして、隣から突然藤崎輝の低く感性的な声が聞こえてきた。その口調には何となく温かみがあり、薄暗い街灯の下を通り過ぎる風のように、どこか幻想的で非現実的に感じられた。
「このCDはあなたのものじゃないの?」
星野夏子は小さな声で言った。
藤崎輝はにっこりと笑ったが、何も言わず、ただ無数の星のように輝く黒い瞳が一瞬だけ暗くなった。
「今の私たちにとって、この歌はちょうど良いタイミングだと思わない?」星野夏子は視線を変え、突然彼を見つめた。
彼の高貴で美しい顔に淡い笑みが浮かび、低く魅惑的な歌声はとても温かく感性的に響いた——