彼女の寝室は書斎の向かい側にあり、同じくシンプルで上品なスタイルだった。
ノートパソコンはベッドサイドテーブルに置かれていた。真は黙って藤崎輝から書類カバンを受け取り、藤崎輝が部屋に入ると、ノートパソコンを片付け、ベッドサイドにあった数冊の本を入れ、それからクローゼットを開けて、何着かの服を手に取ってから部屋を出た。
「ご主人様、奥様のアパートメントは楓の館のスタイルとよく似ていますね」
真は部屋全体を見回して、思わず笑いながら言った。藤崎輝の手からバッグを受け取りながら、「でもこのような装飾の方が、より家庭的な感じがしますね」
「いつから内装デザインに詳しくなったんだ?」
藤崎輝は真を見つめ、低い声で尋ねた。
真はようやく少し頭を下げ、軽く口を押さえてから、「ご主人様、他に何か持っていくものはありますか?これだけでよろしいのですか?」と尋ねた。