059章 結婚指輪（二）

星野夏子の心に疑問が過ぎり、彼の視線に沿って見つめると、目の前の二人の中年男性の姿がようやく見えた。一人は五十歳ほどの風貌で、少し太り気味に見える。この人は非常に賢そうで、精神状態も良さそうだった。

もう一人は……

星野夏子がよく見ると、どこか見覚えがあるように思えた——

太くも痩せてもいない体格、凛々しく厳格な顔立ち、落ち着いた内向的な雰囲気から儒雅さが漂い、全体的に怒らずとも威厳があり、鷹のように鋭い眼光を持つ、歳月を重ねた男性だった。見たところ四十歳ほどで、風格があり、特にその端正な顔は、隣にいる人物と驚くほど似ていた！

男性の視線は隣の藤崎輝をさらりと一瞥した後、その鋭い目が藤崎輝の隣にいる星野夏子に留まり、彼女を上から下まで何度も観察した。藤崎輝とほぼ同じように全てを見通すような眼差しに、星野夏子は心の中で何となく不安を感じ始めた。

彼女が思わず一瞬固まると、隣の藤崎輝が彼女の手を握る大きな手をきゅっと締め付けた。彼が向かいの男性に軽く頷いて挨拶すると、彼女が反応する間もなく、彼女の手を引いて脇に停めてある車へと歩き出した。

その中年男性はまだ振り返って彼らを見ていた。星野夏子は気づいていたが、男性のあの鋭い眼差しが一瞬和らいだように見えた。星野夏子が振り返って彼を見ると、彼も星野夏子に軽く頷き、凛々しい顔に優しい微笑みを浮かべた。

そしてしばらくすると、彼はまた振り返り、隣の中年男性と何か話し続けていた。

「車に乗ろう、食事に連れて行くよ！」

星野夏子が隣の数人の去っていく背中をぼんやりと見つめていると、藤崎輝の静かな声が聞こえてきた。

そこで、星野夏子はようやく我に返り、藤崎輝が彼女のために車のドアを開け、自分は運転席に座っていることに気づいた。

「藤崎輝、さっきの人は、あなたの……」

星野夏子は車に乗り込みながら、彼を見つめて、言葉を詰まらせながら尋ねた。眉を少し上げて。

「数日後に藤崎家の旧邸に戻れば、彼に会えるかもしれない。」

藤崎輝はそう言い残すと、車のエンジンをかけようとした。

星野夏子は眉をひそめ、彼の様子がどこか普段と違うと感じた。端正な横顔にはわずかに寂しさが滲み、眉間にも疲れが見えた。考えた末、彼女は小さな声で言った。「じゃあ、私が運転しようか。」