060章 結婚指輪(三)

しかし男の大きな手は突然、獲物を掴む鷹の爪のように、彼女の手首をしっかりと掴んだ。彼は淡々と彼女を一瞥し、彼女の驚いた目の前で、自分のポケットに手を入れた。

星野夏子はほんのかすかに、目の前で繊細で華麗な光の筋が走るのを見た気がした。次の瞬間、よく見ると、彼の手のひらには既に二つのシンプルで上品な指輪が現れていた。デザインはとても特別で、確かに結婚指輪のペアに見えた。

女性用の方は星型の台座に小さなダイヤモンドが埋め込まれており、デザインはシンプルながらも非常に高貴で上品に見えた。男性用の方も同様で、小さなダイヤモンドが埋め込まれていない点を除けば、デザインは女性用と同じだった。

彼は落ち着き払って女性用の指輪を取り、星野夏子の薬指にはめていった。サイズは大きすぎず小さすぎず、ちょうど良かった。灯りが放つ微かな光が、星野夏子の長く白い手をより一層美しく輝かせた。