065章 ナンパとは言えない

星野夏子は大野恵子のその笑顔を見て、思わず頭皮がゾクゾクし、背後から突然「ヒュッヒュッ」と冷たい風が吹き付け、思わず身震いした——

なぜか彼女は狼の巣に落ちたような感覚を覚えていた。

夏子さんの動揺と不安を察知した大野恵子は、顔に浮かんでいた陰険な笑みを引っ込め、一瞬にして慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、とても親しげに星野夏子の膝の上に置かれた冷たい手に触れ、笑いながら言った。「気にしないで、おばあちゃんはただ嬉しいのよ。なんて水々しくて美しい娘なんでしょう、私も満足だわ!あなたは目の付け所がいいし、行動も早い。でも、我々軍人はそうあるべきよ。狙いを定めたら即行動、潔く決断することに何も悪いことはないでしょう?」

大野恵子は星野夏子を見れば見るほど満足していった。以前、藤崎輝に見合いに行かせた時、彼女はすでに星野夏子の資料を一通り見ていた。今、実際に会ってみると、彼女は母親の深田文奈によく似ていて、性格も似ているようだった。気取らず、上品で静かでありながらも気品があり、能力も優れている。こんな孫の嫁はどこで見つけられるだろうか?

やはり輝はいい目を持っている。さすが男が女を見る目は確かだ!

「輝、あなたはお父さんよりずっと魅力的ね!」

大野恵子は口が閉じられないほど笑いながらお茶を手に取り、一口飲んだ。藤崎輝から冷たく警告するような視線を受け、やっと少し控えめになった。時間を見ると、かなり遅くなっていたので、彼女はようやく言った。「おばあちゃんは特に何も言うつもりはなかったのよ。ただ、さっきあなたのお父さんから聞いて、それから田中部長からも電話があって、ちょっと気になって見に来ただけ。まさかあなたたちが...」

「もともと二、三日後に彼女を連れて帰るつもりだった。この数日は忙しくて、母も東浜市に視察に行って数日後に戻ってくるんじゃないか?」

藤崎輝は淡々と言った。

「彼女は今夜、お父さんと電話したばかりよ。明日の午後には帰ってくるわ」

大野恵子は試すように藤崎輝をちらりと見た。

「わかった。明後日に帰るよ。何か話があるなら、その日に話そう。今夜はもう遅いから、帰るか、ここで一晩過ごすか、自分で決めてくれ」