090章 彼女の面目を立てる

星野夏子は力強くうなずき、お酒を手に取った。

「チン!」

四つのグラスが触れ合い、ワイングラスの中で揺れる曲線が幻想的な光を映し出し、深い友情の継続を示していた。

一杯のお酒を飲み干すと、星野夏子は体の寒気がすっかり消えたように感じた。ちょうど箸を取って料理を取ろうとしたとき、隣の男性はすでに何品もの料理を彼女の器に入れていた。

「私がお腹いっぱいにしてあげられるなら、何度見られても構わないよ」

彼女の視線に気づいた藤崎輝は、彼女を見ることなくそう言った。

「見もしないで私が見てるってわかるの?」

星野夏子は小さな声で答え、遠慮なく箸を動かして彼が取ってくれた料理をすべて受け入れた。

……

食事の間、藤崎輝と阿部恒は時々会話を交わし、須藤菜々はよく喋り、目の前のことについて話していた。星野夏子の恥ずかしいエピソードをいくつも藤崎輝に話して聞かせ、星野夏子を困らせた。今もそうだった——

「藤崎若旦那、知らないでしょうけど、夏子は漫画を描くのが大好きで、特に豚を描くのが一番好きなんです。高校一年の時、学校の漫画コンテストで豚の絵で一等賞を取ったんですよ。美術の先生は、あの豚は天下一の豚だって言ってました……」

「菜々!もうやめて……」

星野夏子の美しく白い顔は、抑えきれない赤みを帯びていた。頭の中には、以前会社のエレベーターで藤崎輝に拾われた漫画が浮かんできた。そこには女王様として橋本楓と星野心を懲らしめる自分の姿が描かれていた……

聞いていた藤崎輝は、しばらく考え込むような表情をして、突然彼女の方を向き、真面目な顔で言った。「そういえば、君の描いた豚が一匹、私のところにもあったな」

須藤菜々がああだこうだと大量に話したおかげで、藤崎輝は星野夏子についての情報をかなり把握することができた——彼女は実にピュアでシンプルな人間だった。

……

夕食は約2時間近くかかり、須藤菜々は嬉しくなって何杯も飲んだため、少しふらついていた。外に出ると、カラオケに行きたい、温泉に入りたいとわめき、阿部恒は仕方なく彼女を抱きかかえて外に向かった。

「真、彼らを安全に家まで送り届けてください、お願いします!あと、道中で二日酔いの薬を買って持たせてあげて。菜々は今夜たくさん飲んだから……」