夕食の後、星野夏子は自ら進んで食器洗いを引き受け、藤崎輝はのんびりと二階へ上がった。
片付けを終えて二階に戻ると、居間のテーブルの横に花瓶が一つ置かれていることに気づいた。花瓶には満開の青いバラが生けられており、その大きな花束は見事に飾られているようだった。
彼女はそれを見て少し驚いた。彼がフラワーアレンジメントの才能を持っているとは思わなかった。
花瓶の花束をしばらく見つめた後、彼女はようやく寝室へ向かった。手にはアパートから持ってきた大量の荷物を提げていた。
寝室の中では化粧台の前の薄暗い壁灯だけがついており、部屋全体に深さの異なる幽かな光が落ちていた。しかし隣の浴室の明かりはとても明るく、「ザーザー」という水の音が絶え間なく聞こえてきた。
彼女は静かにドアを閉め、寝室の主照明をつけると、スーツケースを持ってクローゼットへ向かった。スーツケースを開け、自分の物をクローゼットに入れ始めた。