第117章 実はもっと卑怯になれる(二)

星野夏子が言った食事とは、藤崎輝を直接ニューセンチュリープラザ近くの火鍋店に連れて行くことだった。

火鍋店は人でいっぱいで、夫婦の席は端の隅にあり、振り向いて隣の窓から外を見ると、ニューセンチュリープラザの下の広場が見えた。

彼女は今日の食欲が良さそうで、注文した料理の大半は彼女のお腹に入り、藤崎輝はあまり食べず、もっぱら彼女のために具材を湯がいていた。

今、夏子さんは箸を持って鍋からレンコンを取り出し、自分の器に入れようとしたとき、何かを思い出したように、急に顔を上げて、向かい側でお茶を飲みながらほとんど箸を動かしていない男性を見た。「料理は口に合わないの?全然食べてないみたいだけど?」

そう言いながら、ざるですくった大量の具材を彼の器に入れた。

「あなたは食べなさい。私は妻の戦闘力がどれほどのものか見てみたいんだ」