周囲の空気にはすぐに霞がかかり、もともと少し冷たかった空気もゆっくりと退き、温度がじわじわと上がっていった。
彼女のぎこちない反応に気づいた彼は、当然ながら遠慮なく略奪の攻勢を強め、彼女の腰に回していた大きな手を少し上に移動させた。彼女は彼に強く抱きしめられ、彼の温かい胸に身を寄せ、鼻から流れる清らかな香りに、胸の中に抑えきれない奇妙な空虚感が湧き上がり、彼女は苦しくなった。
彼の長い指はあっという間に彼女の美しい長い髪をかき分け、狭い背中をそっと撫でた。彼のためらいが感じられ、その動きはどこかぎこちなかった……
彼女は息が乱れ始め、澄んだ瞳も霞んできた。全身がぼんやりとし、抵抗する力が全く湧かず、ただ彼の胸元の服をぎこちなく掴み、彼のなすがままになるしかなかった。
最初は軽く味わうだけのつもりだったが、結局のところ、彼は彼女の魅力を過小評価していたことが証明された。
彼女が彼に与える影響の深さは、彼の想像をはるかに超えていることを、彼はますます感じていた。いつも誇りにしていた理性と自制心が薄れていくのを感じた。
彼の清らかで温かいキスが少し下に移ると、彼女は息を乱して荒く息をし、霞んだ目で彼を見つめ、かすれた声で言った——
「や…やめて……私まだ、まだお風呂に入ってない……お風呂の後に……」
彼女がそう断続的に言うと、彼は彼女の言葉の意味を捉え、急に顔を上げた。静かな黒い瞳の奥に隠しきれない火花が踊り、深く息を吸い込んで彼女を見つめ、かすれた低い声で尋ねた。「つまり、君は望んでいるということか?」
彼女は答えず、顔をそむけ、彼のあの深くて熱い視線から逃れようとした……
それを見た彼は、低く笑い、高貴で美しい顔に珍しく優しさが浮かんだ。「黙っているということは同意したということにするよ。どうせ私ももう待てない、後でもう一度お風呂に入ればいい。」
そう言い残すと、彼は彼女を抱き上げ、大股で寝室へと向かった。
快適で上品な寝室には、ベッドサイドの薄暗いテーブルランプだけが灯されていた。彼はリモコンを取って押すと、寝室のカーテンとベッドのカーテンが自動的に下りて、部屋の温かな光をすべて覆い隠した。