第177章 彼は彼女を温めた

そのとき、楓の館の中。

星野夏子はシャワーを浴びた後、ようやく少し目が覚め、全身の疲れも和らいだ。階下に降りると、藤崎輝はすでに夜食を作っていた。

「明日の朝礼は何時から?」

星野夏子はお粥を口に含みながら、突然明日の仕事初めの朝礼のことを思い出し、向かい側で優雅にお粥を飲んでいる男性を見上げて、口の中が半分ふさがった状態で尋ねた。

藤崎輝は横にあったナプキンを取り、軽く口を拭いてから顔を上げて彼女を見た。「朝の9時半だ」

夏子さんは頷いて答えた。「じゃあ9時に会社に行きましょう。今夜はみんなかなり遅くまで遊んでいるでしょうから。さっき梅田さんに電話で聞いたら、まだ解散していなくて、もう10時近いのに、まだ盛り上がっているって」

「10時半に解散して、木村大輔たちが後片付けをする。君は心配しなくていい」

藤崎輝はそう答え、彼女を見る目が急に深く沈んだ。「明日は月影の件が議題に上がる。おそらく数日中に松尾社長が月影に行くだろう。母の持つ20パーセントの株と合わせれば、松尾社長は月影の約35パーセントの株式を掌握できる見込みだ。清川は月影の第二大株主になる」

彼は誠実に月影の件について彼女に話した。

星野夏子はそれを聞いて少し黙り、それから頷いた。考えた後、何かを思い出したように急いで尋ねた。「約35パーセントの株?会社は高値で買収するつもりなの?斉藤凱もかなり前から月影を狙っているみたいだから、松尾社長に注意するように言っておいて」

藤崎輝は否定しなかった。「新しい映画村の開発は我が社が主導するわけではないが、この機会に映画業界の深い水に足を踏み入れるのも悪くない。このプロジェクトは真に任せようと思っているが、どう思う?」

「真?」

星野夏子は驚いて動きを止め、ゆっくりと口の中の食べ物を飲み込んで、驚いて言った。「真はあなたのそばにいるんじゃないの?」

藤崎輝は手を上げて額に当て、少し疲れた様子で言った。「真は幼い頃から父の名義で育てられた、私の兄弟だ。彼を一生私のそばに置いておくわけにはいかない。彼には彼自身の人生があるべきだ」

それを聞いて、星野夏子は少し黙った後、喜んで頷き、ナプキンを取って口を拭いてから答えた。「私は異議ないわ。あなたの言う通りよ」

「上に行って月影と映画村の資料をまとめておいて、明日出社したら真に渡してくれ」