第210章 月影株主総会(二)

楓の館に戻り、夕食を済ませた後、彼はいつものように直接二階に上がった。星野夏子は食器を片付けてから、階段を上がった……

半乾きの長い髪を下ろしたまま浴室から出ると、夜もだいぶ更けていた。寝室も外の居間も灯りが消えていたが、寝室から出ると書斎のドアの隙間から微かな光が漏れているのが見えた。少し考えてから、水を一杯注ぎ、書斎へ向かった。

しかし、書斎のドアに着いて中を覗くと、デスクの椅子に彼の姿はなかった。不思議に思っていると、空気中に漂う微かなタバコの匂いと、涼しい風が感じられた。

彼女は無意識に床から天井までの窓の方を見やると、高い本棚の下で、窓辺に寄りかかってタバコを吸っている男性の姿が見えた。

「タバコばかり吸わないで、体に悪いわよ」

彼女は近づいて、彼の指の間でまだ燃えている半分のタバコを取り、手に持っていた水を彼に渡した。