第230章 パニック(2)

月影の応接室で、星野夏子は冷たい表情でソファに座り、手元の資料に目を通していた。梅田さんが彼女の隣に立っていた。

急ぎ足の音が聞こえ、梅田さんはすぐに顔を上げて入り口を見た。予想通り、岡田凛子と星野心が入ってきた。

「なぜあなたがここに!」

岡田凛子は星野夏子の姿を見るなり、顔を一気に曇らせた。

星野夏子は彼女を見る気もなく、手元の書類を梅田さんに渡した。梅田さんは意を汲んで受け取り、岡田凛子と星野心に持っていった。

「契約解除の件については、片岸マネージャーから既に説明があったと思います。解約書には私がすでにサインしましたので、あなたたちもサインしてください。清川は月影で新たに代わりの人材を選ぶことに決めました。また、先ほど数名の株主が私のところに来て、月影の現状について協議しました。私たちは全会一致で、星野心の今年の重点育成タレントの資格を剥奪し、さらに『スターライト』『恋の歌』などの数本のドラマの主演女優の交代を強く要求することを決定しました。これは株主たちが署名した声明書です。ご覧ください。」

星野夏子の冷淡な声が響き、梅田さんも二つの書類を二人の前に差し出した。

「星野夏子、この卑怯者!よくも落ち目に追い打ちをかけるような真似ができるわね!」

岡田凛子は手元の書類に目を通すなり、歯ぎしりして星野夏子を睨みつけ、怒りを抑えきれずに罵った。そして怒りに任せて手元の書類を床に投げつけた。

星野夏子は梅田さんに一瞥をくれ、梅田さんはすぐに書類を拾い上げ、顔色が青ざめて暗い表情の星野心の前に解約書を差し出した。「心さん、サインをお願いします!」

「落ち目に追い打ちというわけでもありません。私はただ会社を代表して会社の決定を実行しているだけです。また、株主たちの利益は、内外で二面性を持つ人のために損なわれるべきではありません。岡田社長もビジネスパーソンなのですから、なぜ株主たちの立場に立って考えてあげないのですか?不満があるなら彼らに説明すればいいでしょう。私に怒っても問題は解決しません。」

言い終わるや否や、まるで星野夏子に呼応するかのように、ドアの外から騒がしい声が聞こえてきた。

「岡田社長、野村社長たちがいらっしゃいました。お会いしたいとのことで、止めることができませんでした!」

秘書がドアを開け、焦った様子で言った。