第229章 パニック(1)

真はすぐに手を伸ばして受け取り、目の奥に少し疑問を浮かべながら藤崎輝を見つめた。

「これは君の義姉が西軍事指揮学院にいた時の資料だ。時間が経ちすぎていることと、誰かが意図的に多くの情報を消したせいで、完全なものではない」

藤崎輝はそう言いながら、ゆっくりとオフィスチェアに腰を下ろし、深遠で穏やかな目で真を見つめた。「私のために、義姉が軍校を退学させられた真相を調べてほしい。すべての確かな証拠を手に入れるまで、この件は必ず秘密にしておくように。どう進めるかは君の判断に任せる」

真はそれを聞きながら、手元の書類を開き、細かく目を通してから頷いた。「少主様、ご安心ください。私が直接この件を処理します」

事の重大さを認識したのか、真も油断することなく、資料に示された内容から判断すると、事態はかなり複雑なようだった。そうでなければ、星野夏子がその人の目を突いただけで何事もなく済むはずがない。明らかに誰かがこの件を揉み消したのだ。誰かは言わずとも想像がつく。

「あの男の背景も調べてみろ。思いがけない収穫があるかもしれない」

藤崎輝は突然もう一言付け加えた。

「はい、少主様!ご安心ください、しっかり処理します。それから、星野心の件については、私はすでに……」

藤崎輝は片手で頭を支え、一言返事をして、低い声で言った。「星野心のことはうまく処理した。この騒動に乗じて、彼女を片付けてしまおう」

「少主様、今電話を受けたところですが、すでに何社もの広告会社が月影との契約を解除しています。予想通りです。斉藤凱と橋本氏がどれだけ必死に挽回しようとしても、この危機を乗り越えるのは難しいでしょう。ですから……」

真は考えた後、重々しく応じた。

「この件はこのままにしておけ。この嵐はそう簡単には過ぎ去らない。下がっていいぞ」

藤崎輝のこの言葉の意味を真はもちろん理解していた。星野心の前回の孤児院事件がまだ収まっていないうちに、今度はこのような醜聞が爆発した。長くはかからないうちに、彼女はエンターテイメント業界で悪名を轟かせることになるだろう。一つや二つのスキャンダルなら宣伝の疑いとして扱えるかもしれないが、これほど多くの真実に基づいた否定的なニュースとなると、彼女にはただ無情に告げるしかない。彼女のエンターテイメント業界でのキャリアは、今回で終わりだろう。