第229章 パニック(1)

真はすぐに手を伸ばして受け取り、目の奥に少し疑問を浮かべながら藤崎輝を見つめた。

「これは君の義姉が西軍事指揮学院にいた時の資料だ。時間が経ちすぎていることと、誰かが意図的に多くの情報を消したせいで、完全なものではない」

藤崎輝はそう言いながら、ゆっくりとオフィスチェアに腰を下ろし、深遠で穏やかな目で真を見つめた。「私のために、義姉が軍校を退学させられた真相を調べてほしい。すべての確かな証拠を手に入れるまで、この件は必ず秘密にしておくように。どう進めるかは君の判断に任せる」

真はそれを聞きながら、手元の書類を開き、細かく目を通してから頷いた。「少主様、ご安心ください。私が直接この件を処理します」

事の重大さを認識したのか、真も油断することなく、資料に示された内容から判断すると、事態はかなり複雑なようだった。そうでなければ、星野夏子がその人の目を突いただけで何事もなく済むはずがない。明らかに誰かがこの件を揉み消したのだ。誰かは言わずとも想像がつく。