第244章 愛はもう存在しない(3)

橋本楓の視線は静かで、深く藤崎輝を一瞥した後、視線を移し、藤崎輝の隣にいる星野夏子に落ち着いた。

突然現れた橋本楓に星野夏子は一瞬戸惑い、無意識に隣の男性の方を振り向いた。しかし藤崎輝は相変わらず落ち着いた表情で、夏子の肩に回していた腕をぐっと引き締め、海のように深い瞳で静かに橋本楓を見つめていた。

橋本楓は落ち着き払った藤崎輝を見て、表情が少し変わった。しばらくして、ようやく高圧的な態度で口を開いた。「お会いできて光栄です、藤崎取締役!」

そう言いながら、視線を星野夏子に向け、口調はやや和らいだ。「夏子、またここで会えるとは思わなかったよ!」

藤崎輝の整った顔にはすぐに淡い笑みが浮かんだ。「光栄?少し不運な気がしますが……」

そう言いながら、彼は隣ですでに表情を曇らせている星野夏子を意味深げに見た。橋本楓も表情が複雑に沈んだ。少し考えてから、突然夏子から手を離し、低い声で耳元にささやいた——