須藤菜々と阿部恒のアパートの中。
須藤菜々はリビングのソファで足を組んで座り、ひまわりの種をつまみながらテレビを見ていた。そばでは星野夏子がリラックスしてりんごの皮をむいており、阿部恒はキッチンで忙しそうにしていた。
「橋本楓は本当に星野心のあのあまっちょろい女と婚約を解消するのかしら?」
須藤菜々は我慢できずに星野夏子に尋ねた。顔には災いを喜ぶ笑みを浮かべ、星野夏子の返事を待たずに大笑いした。「マジで天罰が下ったわね!解消されて当然よ。あの女がまだ偉そうな顔してるのを見てみたいわ!捨てられる日が来て当然よ!あの女が気取ってて、演技してるって言ってたのに、みんな目が見えてないみたいだったもの!」
須藤菜々は我慢できずに罵り、心の中でスッキリした気分になった。
「あの女が今、町中の噂になってるのは当然よ。夏子、あなたはもっと早くこうするべきだったのよ。それに黄前珊瑚と立野鈴子のあの二人のお尻拭き、自分が何様だと思ってるのかしら。特にあの夜、立野鈴子が言ったことなんて、星野心の指示じゃなかったら誰のものよ?」
須藤菜々は皮肉たっぷりに言った。「今や星野心はほぼ業界から締め出されてるわ。彼女と契約してた会社のほとんどは契約解除してるはず。もしこのタイミングで橋本楓も彼女と婚約を解消したら、彼女がどうやってこの芝居を続けるか見てみたいわ。たとえ彼女が月影を引き継いだとしても、どうなるっていうの?あなたと深田おばさんが持ってる37パーセントの株を引き上げたら、月影はさらに窮地に追い込まれるわ。あなたのあの傲慢なおばあさんがどんなに威張っても、彼らはあなたの支配から逃れられないわ!」
そう言うと、須藤菜々は急に気分が良くなった。
「必ずしも婚約が解消できるとは限らないわ。星野心は昔の私じゃない。たとえ星野心本人が同意したとしても、星野家と岡田家が簡単に頷くとは思えない……」
星野夏子は皮をむいたりんごを須藤菜々に渡しながら、淡々と言った。