「チン!」
グラスが触れ合う音が響き、一杯のお酒はすぐにお腹の中へと流れ込んだ。
「もう結婚したんだし、心はもう橋本家の子を身ごもっているんだから、これからはこういった芸能界のゴシップには関わらないでほしい。我が橋本家とお前の祖父の岡田家、それにお前たち星野家は代々の付き合いだ。一家として遠慮なく言わせてもらうが、今後はあのような噂が出ないようにしてほしい。心は引退して、子供が生まれたら月影に戻るか、橋本氏で働くかはお前の自由だ」
話しているのは橋本おじいさんで、およそ80歳の高齢だが、老人は見た目にはとても元気そうで、鋭い目は人を見通すような力を持ち、全体的に威厳のある雰囲気を醸し出していた。
「おじいさま、わ...わかりました、そうします...」
橋本おじいさんの強い存在感に圧倒され、星野心は少し震えながら、橋本楓の大きな手を握り、返事をしながら隣にいる橋本楓を見つめた。その目には明らかに弱々しさが混じっていた。