第324章 結婚の話(三)

夕食が出来上がってテーブルに並べられたところで、藤崎川と松本朋香が前後して入ってきた。藤崎凌子も帰ってきて、家族はすぐに手を洗って食卓に着いた。

食事中、藤崎輝はまだ結婚のことには触れず、藤崎川が入札会議の状況について尋ね、藤崎悠も適切に発言し、夕食の間の雰囲気はとても和やかだった。

「お義姉さん、あなたを娶ってから兄さんがずいぶん家庭的になったわね。以前はこんな趣味があるなんて見たことなかったわ」

夕食後、家族がリビングのソファに集まってテレビを見ていると、藤崎凌子は星野夏子から渡されたフルーツを受け取りながら冗談を言った。

星野夏子は微笑んで、手にしていたフルーツ皿をテーブルに置き、軽く笑いながら言った。「それなら今後はもっと彼に帰ってきて皆のために料理を作らせましょう…」

そう言いながら、無意識に隣の男性を見ると、ちょうど彼の視線と合った。彼は少し身を低くして彼女の耳元で囁いた。「家で僕を使役するだけでなく、帰ってきたら家族全員で僕を使役するの?君は本当に藤崎奥さん本人なの?」

星野夏子は眉を上げ、確信を持って頷いた。「もちろん私は本人よ。おじいちゃんおばあちゃんとお父さんお母さんがみんな幸せそうでしょう?あなたが少し我慢することがなぜいけないの?私の心の中であなたはいつも優雅で品格のある紳士なのよ…」

藤崎輝はそれを聞いて、言葉に詰まった。お茶を一口飲み、しばらくしてから言った。「君たちの幸せは僕の労苦の上に成り立っているんだね」

……

「凌子、会所の方はもう慣れた?真から電話があって、あまり無理しないようにと言っていたわよ」

藤崎悠の優しい声が聞こえ、皆も無意識に藤崎凌子の方を見た。避けられないことに、藤崎凌子の輝いていた瞳は少し曇り、長い傷跡が薄暗い光の中でくっきりと浮かび上がっていた。

「慣れてきたわ。お義姉さんがよく面倒を見てくれるから、心配しないで」

しばらくして、藤崎凌子はそう答えた。

松本朋香と藤崎川は視線を交わし、少し躊躇してから穏やかに言った。「凌子、お父さんとわたしは何も言わないけど、ただあなたがよく考えて、後悔することがないようにしてほしいだけよ」