第323章 結婚の話(二)

藤崎邸では、星野夏子からの電話を受け、今夜若い夫婦が帰ってくるという知らせを聞いて、大野恵子たちは当然大喜びした。特に夏子が藤崎輝と一緒に自ら料理を作ると言ったとき、喜びのあまり口が閉じられないほどだった。

藤崎輝の性格は、大野恵子が最もよく知っている。家では口数も少なく、彼らとはやや疎遠で礼儀正しい関係だった。今、星野夏子が彼が家族全員のために料理をすると言ったので、大野恵子は当然とても喜んだ。

そのため、電話を切るとすぐに執事に車の準備をさせ、自ら食材を買いに出かけることにした。藤崎悠も驚いて、老夫婦は一緒に出かけた。

老夫婦は藤崎川と松本朋香にも電話をかけ、夜は早めに帰るよう伝えた。

藤崎邸近くの大型スーパーへの道で、老夫婦は遠くで車を降り、大野恵子は天気が良いから太陽の下を歩こうと言い、藤崎悠もそれに従った。

老夫婦は肩を並べて、前方の暖かい陽光を踏みながらゆっくりと歩いていた。

「ねえ、あなた、最近輝の変化は大きいと思わない?凌子の話では、彼の気持ちは以前よりずっと良くなったみたいで、少なくとも時々笑顔を見せるようになったわ。あの件も、もう過去のことになったのかしら?」

歩きながら、大野恵子は突然静かに口を開いた。やや老いた声には、まだ少し物悲しさが漂っていた。「子供たちがみんなこの困難を乗り越えられることを本当に願うわ。真と凌子のことを考えると、本当に心配だわ!」

「子供たちのことは彼ら自身に任せておけばいいじゃないか。あなたが言ったり心配したりしたからって、彼らが聞くのか?孫は孫の幸せがある。あなたが私のことを心配しているのを見たことがないよ。」

藤崎悠は彼女をちらりと見て、低い声で答えた。「私たちはもう年を取ったと感じる。子供たちの考え方とは違う。彼らの言葉で言えば、私たちの考えはもう時代遅れで、彼らとの間には何重もの溝があるんだ、そうだろう?」

「考えてみろよ、私たちの時代はどれほど単純だったか。お互いが気に入れば、そのまま婚約した。彼らが言う『愛』とかそういうものは関係なく、ただそうだった。時間が経つにつれて、慣れてきた。誰が愛とか何とかを知っているんだ、そうだろう?」