第321章 入札会議(三)

この言葉が落ちると、星野夏子は思わず息を呑んだ——

「あなたは本当に大胆ね、後ろの書類はみんなが慎重に検討して得たデータなのに、あなたが勝手に変えたら、私たちの努力は無駄になってしまうじゃない……」

「どんな選択も一種の賭けだ。俺は自分の感覚を信じたいんだ。もちろん、君たちの努力も無駄にはなっていない」

藤崎輝は神秘的にそう言い残すと、深い眼差しを無意識に隣の斉藤礼に向けた。星野夏子は一瞬驚き、彼の視線の先を見ると、案の定、斉藤礼の顔が険しくなっていた!

「彼を警戒していたの?」

星野夏子はようやく気づいた。以前の書類を思い返すと、確かに、あの書類だったら、恐らく……

こんな大勝負でも動じない姿に、彼女は思わず感心した。

落札者が発表された後、すぐに周りから祝福の声が聞こえ、上座の星野山も微笑みながら彼らに頷いていた。