第320章 入札会議(二)

空気が突然火薬の匂いで満ちた。特に斉藤礼のあの急に冷たく鋭くなった眼差しは、星野夏子をも一瞬驚かせた。藤崎輝を見ると、彼はまだ表情が冷淡で、斉藤礼を一瞥しただけで、静かに頭を下げて手元の書類を読み続けていた。

星野夏子はすぐに席に戻って座った。

前方の入札者もすぐに署名を確認し終え、司会者はすべての入札者の書類が有効であると宣言した。

「次に、スタッフが入札者の書類提出順に入札書類を開封し、公証所に送って検査します…」

司会者の声が落ちると、それらの密封された書類が開封され、前方の議長台に送られて多くの幹部たちが閲覧チェックした。

星野山も非常に真剣に手元の書類を見ており、時々隣の人と何かを話し合っていた。

「今回は入札参加企業が多いね。あそこにいるのが泰弘会社だ。彼らは以前、斉藤凱と密接な協力関係にあったと聞いているが、最近あるプロジェクトの件で仲違いしたらしく、今では両社の関係はかなり微妙なようだ」

四方八方に耳を傾けることは、彼らがビジネス界で生き抜くために必要なスキルだったので、星野夏子もこういった情報にはある程度敏感だった。

「ビジネス界には永遠の敵も永遠の友もなく、あるのは永遠の利益だけだ」

藤崎輝は書類から顔を上げ、淡々とそう言った。

星野夏子は喜んで頷き、同意した。「それは確かにその通りですね。私たち清川も長年多くの企業と友好関係を築いてきましたが、同時に多くの企業の目の上のたんこぶにもなっています」

星野夏子の暗示を理解し、藤崎輝は頭を傾けて星野夏子の隣を見た。案の定、斉藤礼が助手と何かを話しており、その視線は時々彼らの方に向けられていた。

「斉藤さん、藤崎輝は一昨日の夜に戻ってきたことが確認されました。彼と星野夏子が確かに夫婦関係であることも確認しました。今朝、私が民政局に電話して確認したんです。そして、この南浦一号工事は星野夏子が担当しているそうです。彼女は以前から計画案を提出していて、藤崎輝に高く評価されているとか…」

助手の山田勝もこの時、藤崎輝と星野夏子の二人を見ながら言った。

「まったく差別待遇だな!」

斉藤礼は見ながら、笑うでもなく笑わないでもなく、手で鼻をちょんと触った。