空気が突然火薬の匂いで満ちた。特に斉藤礼のあの急に冷たく鋭くなった眼差しは、星野夏子をも一瞬驚かせた。藤崎輝を見ると、彼はまだ表情が冷淡で、斉藤礼を一瞥しただけで、静かに頭を下げて手元の書類を読み続けていた。
星野夏子はすぐに席に戻って座った。
前方の入札者もすぐに署名を確認し終え、司会者はすべての入札者の書類が有効であると宣言した。
「次に、スタッフが入札者の書類提出順に入札書類を開封し、公証所に送って検査します…」
司会者の声が落ちると、それらの密封された書類が開封され、前方の議長台に送られて多くの幹部たちが閲覧チェックした。
星野山も非常に真剣に手元の書類を見ており、時々隣の人と何かを話し合っていた。
「今回は入札参加企業が多いね。あそこにいるのが泰弘会社だ。彼らは以前、斉藤凱と密接な協力関係にあったと聞いているが、最近あるプロジェクトの件で仲違いしたらしく、今では両社の関係はかなり微妙なようだ」