第328章 蜷り合う温もり(三)

瑞穂市の市北郊外にある上島珈琲店の中。

星野夏子が約束の場所に到着したとき、カリーナはすでに席で長い間待っていた。星野夏子の姿を見るとカリーナはすぐに立ち上がった。

「星野監督!」

カリーナが小さな声で呼びかけると、星野夏子も軽く頷き、淡々とカリーナを一瞥した——

グレーと白のスポーツウェアを着て、頭にはキャップをかぶり、顔には大きなサングラスをかけていて、選んだ場所も珈琲店の静かな隅だった。

「座って、モカを一杯お願いします。」

星野夏子は席に着きながら、横にいるウェイターに微笑みかけた。

「かしこまりました、少々お待ちください!」

ウェイターはすぐに下がり、カリーナも座った。彼女の顔には柔らかな笑みが浮かんでいた。「来てくれてありがとう。」

星野夏子は快く微笑んだ。「あなたの招待だから当然来るわ。この間、ジュエリーシティの件で忙しかったでしょう?疲れてない?」