第331章 西園に戻る(二)

聞きながら、星野夏子もうなずき、前方に集中して見つめながら言った。「おじいちゃんおばあちゃんも両親も私にとても良くしてくれるわ。彼も私のことを細やかに気遣ってくれる」

「だからね、今を大切にすればいいのよ。他のことは、あまり考えすぎないで」

須藤菜々が笑いながら言った。

「うん、わかってる」

「今のあなたたちの関係を見てると、誰にも負けないわね。藤崎若旦那はあなたにとても優しいし、こんな素敵な男性を捕まえたんだから、あなたもずっと不幸だったわけじゃない、むしろ幸運よ」

「私だって悪くないわよ。彼が私と結婚できたのも彼の幸運なんだから...」

「そうそう!誰が私のお嬢様と結婚できても、それは彼の幸運よ!これでいい?凌子のことは心に留めておくわ、安心して。どうせ暇だし、彼女とよく遊びに行くつもりだから、ついでに少し考え方も教えてあげる。できる限りのことはするから、あなたもあまり心配しないで」

……

困ったときはいつも須藤菜々を頼る。この世で、おそらく須藤菜々だけが彼女にこれほど尽くしてくれる人だろう。ほぼ呼べばすぐに来てくれる。彼女にはずっと感謝している。この数年間、彼女がいなければ、きっと何倍も苦しい思いをしていただろう。

人生に一人の知己を得れば、それで十分である。

……

翌日、朝のミーティングでは昨日の南浦プロジェクトの未解決の問題について引き続き議論された。昨日と同様、昼休みの時間まで続き、ようやく分担の問題が初歩的に決まり、今後の作業も比較的スムーズに進められるようになった。星野夏子もほっと一息ついた。

昼食は以前と同じく、星野夏子は食堂から弁当を持って58階に向かった。

ドアの前に着くと、隣の秘書室にいる木村大輔と、最近異動してきた藤崎輝のアシスタントのウィリアムが彼女に微笑みながら会釈した。星野夏子も礼儀正しく微笑み返した。

形式的にドアをノックし、中からの返事を待たずに扉を開けて入った。しかし一歩踏み出したところで、中から会話の声が聞こえてきた。顔を上げると、オフィスには藤崎輝の他に、金髪碧眼の美女が二人いることに気づいた。一人は短髪で、40代くらいの様子で、笑顔を浮かべ、気品があった。もう一人の女性は前者のアシスタントのように見えた。

「来たか」

星野夏子の姿を見るなり、藤崎輝は手招きして彼女を呼んだ。