第357章 愛したことを、どう説明できる？（四）

木村大輔の声が落ちると、藤崎輝は少し考えてから淡々と言った。「専用機に連絡を取ってくれ。明日の午後には彼らを帰らせよう。ついでに真のところの別荘に機転の利く使用人を何人か探して、祖父母にも一言伝えて、準備をしてもらおう」

若様が行動派であることはずっと知っていたが、こうして言われるとすぐに実行に移し、一切の遅れもない。

木村大輔は何度も頷いた。「はい、わかりました、若様！すぐに手配します」

そう言って、木村大輔は立ち上がり、ドアの方へ歩き出した。

「ちょっと待て」

藤崎輝が突然彼を呼び止めた。

「若様、他に何かご用でしょうか？」

木村大輔はすぐに足を止め、振り返ると、藤崎輝が何か考え込んでいる様子だった。

「帰る前に、真をここに来させてくれ」

藤崎輝は重々しく言った。

「かしこまりました、若様！あ、そうそう、今日須藤旭様があなたの携帯に電話をされていました。彼も東浜市にいるようで、後ほどあなたに会いに来ると…」

木村大輔の言葉が終わらないうちに、ドアの外からタイミングよくノックの音が聞こえた。木村大輔は急いでドアを開けると、そこには予想通り、くつろいだ様子の須藤旭が立っていた。

「須藤旭様！」

木村大輔は敬意を込めて挨拶すると、須藤旭はすでに頷いて中に入ってきていた。木村大輔は察して部屋を出て、彼らのためにドアを閉めた。

……

「どうしてこっちに来たんだ？」

須藤旭がソファにくつろいで座ったとき、藤崎輝はすでにバーカウンターからボトルを持って戻ってきていた。淡々と二人分を注ぎながら言った。

「ちょうどこっちに出張で来ていて、君が事故に遭ったと聞いたから、様子を見に来たんだ。でも今の様子を見ると、大したことはなさそうだな？」

須藤旭は藤崎輝から渡された酒を受け取り、一気に飲み干してから言った。

「幸いなことに、俺は大丈夫だ。ただ真の方がかなり怪我をしている」

藤崎輝は表情を変えずに言いながら、軽く一口飲んだ。「凌子も来ているよ。会いに行かないか？明日の午後には専用機で彼らを帰らせるつもりだ」

「ああ、聞いたよ。帰ってから会いに行くよ。真には電話をした。薫もそっちに戻ってきたらしい。君が事故に遭ったと聞いて、様子を見てこいと言われたんだ。兄弟として、君が無事で安心したよ」