「夏子!」
ぼんやりとした状態から我に返った星野山は、星野夏子の姿がすでに通り過ぎていくのを見て、かすれた声で低く呼びかけた。
追いかけようとした矢先、傍らから藤崎輝の凛々しい姿が近づいてくるのに気づいた。
「輝?どうして君たちが……」
星野山は深く息を吸い込み、目に宿った熱さを必死に押し戻しながら、静かに立ち尽くす藤崎輝を見つめた。
彼らはどうやって知ったのだろう?まだ東浜市にいるはずでは?
藤崎輝は物静かな表情で、目の前の憔悴し寂しげな星野山を見つめ、しばらく沈黙した後、淡々と言った。「今飛行機を降りたところだ。真から大まかな状況を聞いた」
そう言うと、藤崎輝のすらりとした姿は中へと進んでいった。「中に入って状況を確認してから詳しく話そう」
言葉が終わるか終わらないかのうちに、彼はすでに病室へと歩み入っていた。