第373章 人は生きていくためには、強くならなければならない(その2)

「夏子!」

ぼんやりとした状態から我に返った星野山は、星野夏子の姿がすでに通り過ぎていくのを見て、かすれた声で低く呼びかけた。

追いかけようとした矢先、傍らから藤崎輝の凛々しい姿が近づいてくるのに気づいた。

「輝?どうして君たちが……」

星野山は深く息を吸い込み、目に宿った熱さを必死に押し戻しながら、静かに立ち尽くす藤崎輝を見つめた。

彼らはどうやって知ったのだろう?まだ東浜市にいるはずでは?

藤崎輝は物静かな表情で、目の前の憔悴し寂しげな星野山を見つめ、しばらく沈黙した後、淡々と言った。「今飛行機を降りたところだ。真から大まかな状況を聞いた」

そう言うと、藤崎輝のすらりとした姿は中へと進んでいった。「中に入って状況を確認してから詳しく話そう」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、彼はすでに病室へと歩み入っていた。