382章 後始末をする藤崎若旦那(五)

翌日、星野夏子は早朝から病院に向かった。病院に到着すると、ちょうど見舞いに来た須藤菜々と出くわした。菜々は少し憔悴した様子で、顔には申し訳なさが浮かんでいた。

「ごめんなさい、夏子。深田おばさんを守れなかったの。私のせいで彼女がこんな状態になってしまって…私が軽率だったの。あの二人の鬼畜女を怒らせるべきじゃなかった。全部私のせいよ。夏子、殴っても罵っても構わないわ、何も言い返さないから」

病院の曲がり角で、須藤菜々は目を赤くして星野夏子を見つめていた。この数日間、自責の念と心配、悲しみが彼女を絶えず苦しめ、ほとんど耐えられない状態だった。

星野夏子は眉をひそめ、目の前で涙ぐんでいる菜々をしばらく見つめた後、苦笑いを浮かべ、すぐに彼女を優しく抱きしめた。「何を言ってるの。これがどうしてあなたのせいになるの?あなたが彼女を母親だと思っていなければ、彼女のために立ち向かうこともなかったでしょう。昨晩も母は私にこのことを話していたわ。あなたが余計なことを考えないか心配していたのよ。元気を出して、お腹にはまだ小さな命がいるんだから」

須藤菜々は鼻をすすり、少し詰まった声で言った。「岡田凛子は酷すぎるわ。彼女が恥知らずで卑劣なやり方であなたの両親の関係を壊したのに、今度は逆に責任転嫁するなんて。こんな恥知らずな人、生まれて初めて見たわ」

星野夏子は息を吸い込んだ。「彼女たちの手口はとっくに知っているはずでしょう?」

「夏子…」

須藤菜々は小さな声で呼びかけた。

星野夏子は穏やかに微笑み、手を伸ばして菜々の肩を軽くたたいた。清楚で美しい顔に慰めの笑みを浮かべながら言った。「安心して、彼女たちの良い日々もすぐに終わるわ。おそらく、これが自業自得というものよ。だから、自分を責めたり悲しんだりする必要はないの。さあ、まず中に入りましょう。藤崎輝と父も中にいるし、母も今ちょうど目を覚ましたみたい。あなたが来たら、きっと喜ぶわ」

そう言い終えると、星野夏子は深田文奈の病室へ向かって歩き始めた。須藤菜々はその場に立ち尽くし、夏子の言葉の意味を理解しようとしたが、深く考えることなく、彼女の後を追った。

深田文奈の病室では、医師が彼女の全面的な検査を終えたところで、藤崎輝が傍らで医師から状況を聞いていた。星野山は看護師と協力して文奈に注射を打っていた。