第408章 葬儀（三）

しばらくすると、後から来た藤崎輝と星野夏子たちを除いて、星野山と後ろで傘を差している一輝だけが残った。

「おじいちゃん、安らかに眠ってください。あの世では病の苦しみもなく、幸せに過ごせますように」

星野夏子はゆっくりと立ち上がり、指先を伸ばして墓石の写真についた雨水を拭き取ろうとした。しかし拭いているうちに、彼女は突然動きを止めた。

「夏子、父さん、おじいさんはきっと安らかに眠るよ。あまり悲しまないで。亡くなった人はもう戻らない。生きている者は前に進まなければ」

藤崎輝はため息交じりにそう言って、星野夏子を支えるために前に出た。星野夏子は深く息を吸い込み、ゆっくりと顔のサングラスを外し、わずかに赤みを帯びた曇った瞳を見せた。彼女は目を閉じ、しばらく落ち着かせてから、再び目を開けた……

「小さい頃、よくおじいちゃんと出かけたわ。あの頃のおじいちゃんはまだ元気で若々しくて、乗馬が好きだった。ある時、おじいちゃんが私を乗馬場に連れて行ってくれたけど、急用ができて帰らなければならなくなった。私は泣いて聞かなくて、午後ずっと泣いていた。結局、おじいちゃんは仕方なく私のために馬の真似をしてくれて、腰を痛めてしまった……」

彼女のやや嗄れた声が低く伝わってきた。霞んだ視線はまだ墓石の写真に向けられていた。

「三歳の時、最初に簡単な一、二、三と十個の数字を覚えたのも、おじいちゃんが教えてくれたの。幼稚園に入ってから、字を書く時に背筋がいつも伸びなかった。それを直すために、おじいちゃんはほとんど毎晩、私の宿題を見てくれた。母さんでさえ、おじいちゃんの方が厳しい先生みたいだって言ってた……」

星野夏子の言葉が落ちると、星野山は突然感慨深げにため息をついた。「お前のおじいさんは…ずっとお前を星野家の小さなお姫様として大事にしていた」

「ずっと知っていたわ……おじいちゃんがこうして去ってしまって、私の心もぽっかり空いてしまった。でも考えてみれば、おじいちゃんにとってはある意味解放されたのかもしれない。この世を去れば、すべてが純粋になって、もう心配事に悩まされることもない」