第415章 やり直し(四)

ペンを取り出した後、引き出しを閉めようとしたとき、偶然にも引き出しの隅に、前回も風邪で喉が痛くて話せなかった藤崎輝が真に頼んで持ってきてもらった喉飴を見つけた。

少し考えてから、手を伸ばして取った。

「バン!」

斉藤礼がひどく咳き込んでいる時、星野夏子は小さな金属缶を彼の前に投げた。彼は驚いて顔を上げて彼女を見たが、彼女はすでに頭を下げて手元の書類を見続けていた。

斉藤礼はその小さな金属缶を手に取り、中には喉の痛みを和らげる喉飴が入っていることを発見した。下げた瞼が目の奥の揺れる光を隠し、細めた黒い瞳で彼女をしばらく見つめてから、遠慮なく一つ取って口に入れた。

「この書類は後日また持ってきますね。いくつか詳細について話し合う必要があります。」

しばらくして、星野夏子はようやく手を止め、彼を見た。

斉藤礼は軽く二回咳をし、眉をひそめながら図面上のある位置を指さし、かすれた声で言った。「ここがあなたたちが変更を求めた箇所です。全体の効果図はこちらです。」

「はい、わかりました。後で確認して意見があれば直接お伝えします。」

星野夏子はゆっくりと手元の書類を閉じ、立ち上がって書類を片付けた。「斉藤副社長はお先にどうぞ。わざわざお越しいただき、ありがとうございました。」

星野夏子は丁寧かつ公式な口調で言った。

斉藤礼の赤らんだ顔には薄い汗が浮かび、かなり不快そうに見えた。彼は長居せず、星野夏子の手からペンを取り、素早く書類の空白の隅に一連の番号を書き込んだ。

「検討が終わったら電話してください。」

斉藤礼は長居せず、荷物をまとめて立ち去ったが、その喉飴の缶も持って行った。

「月影を狙っているのは知っていますが、最近は少し控えた方がいいでしょう。最近は少し穏やかではなく...狙っているのは清川だけではありません...これは私からの警告の代償と思ってください。過分ではないでしょう?」

ドアの前で足を止めた斉藤礼は、振り返って星野夏子を見つめ、手の中の小さな金属缶の喉飴を掲げた。彼の声はかすれて低く、視線は深遠で、いつものような邪気を帯びていなかった。

そう言い残すと、斉藤礼は笑いながら立ち去り、抑えた咳の音が遠くから聞こえてきた。