第416章 温かい時光(一)

須藤旭は見つめながら、顔色も暗くなり、少し躊躇してから、ゆっくりと言った。「今回は真が行って状況をよく探るチャンスだ。もしかしたら何か手がかりが見つかるかもしれない」

「斉藤惇の対諜察能力は非常に高い。彼の過去の経歴から、この方面に特に敏感なんだ。何度も追跡調査を試みたが、いつも振り切られてしまった。だから、彼はきっと警戒を強めているはずだ」

これらのことを話すと、藤崎輝の清潔で超然とした顔にも重々しさが浮かび、黒い瞳の中には不安定な冷たい光が沈んでいた。

「東浜市のあの件はどうなった?単なる事故だとは言わないでくれ。私はあれがそう単純なことではないと感じている。あそこは古川家の本拠地だ。おそらく君が何度か行ったことも彼らの目に入っているだろう。それに、君が戻って清川を引き継いだのは大きなニュースだ。あちらの人間も知っているはずだ」

須藤旭は突然このことを思い出し、思わず尋ねた。

藤崎輝は手に持った調味料を脇に置き、須藤旭が皮をむいて洗ったジャガイモを受け取り、手慣れた様子で千切りにしながら、顔はいつもの冷静さを取り戻していた。

「事故を起こした運転手は肝臓がんの末期で、今は意識不明だ。以前の手がかり以外に、彼の妻の口座に突然20万元が入金されていたことがわかった。調べてみると、それは事故を起こした運転手の口座から振り込まれたものだった。そこで手がかりは途切れてしまった」

藤崎輝の口調はとても穏やかだったが、須藤旭は眉をひそめた。「つまり、その運転手の情報がその人物の手中にある可能性が高いということか?彼の口座を調べなかったのか?」

「運転手が以前に自分で現金を入金したものだ。有用な情報は見つからなかった。運転手本人が口を開かない限り無理だろう」

須藤旭はようやく額に手をやった。「なるほど、これは厄介な問題だな。しかし、君たちにはもっと注意するよう忠告しておく。私も何となく不安を感じている。もしこれが人為的なものなら、明らかに君を狙ったものだ。だから最近の外出には気をつけて、ボディガードを何人か連れて行くといい。どうせ君は大勢雇っているんだから」