第417章 温かい時光（二）

真たちの車がちょうど出発したところで、藤崎輝が家に戻ろうとしたとき、遠くから車のクラクションが聞こえてきた。彼は無意識に顔を上げて見ると、前方から車のヘッドライトが照らしてきていた。

その光で見ると、案の定、運転席に女性の姿が見えた。

車はすぐに玄関前の駐車スペースに停まり、星野夏子が車のドアを開けて降りてきた。藤崎輝はその場に立ったまま、彼女に微笑みかけ、その眼差しには穏やかな温かさが宿り、愛情に満ちた表情が見て取れた。

夏子は車のドアを閉め、手には袋を持ち、車を施錠してから素早く藤崎輝の方へ歩いていった。

「楽しかった？」

彼女の美しい顔に珍しく微笑みが浮かんでいるのを見て、彼はすぐに手を伸ばし、彼女の肩を優しく抱いた。

「まあまあね。あなたがまだ食事をしていないかと思って、ワンタンを買ってきたの。前に須藤菜々と食べたときに美味しかったから。まさかあなたたちが家で何かやっているとは思わなかったわ」

彼女は手に持っていた袋を彼の前で振った。

「ちょうど夜食にいいな。今夜はお酒をたくさん飲んだけど、あまり食べ物は口にしなかったから」

彼は彼女から袋を受け取り、低い声で言った。

「近づく前からお酒の匂いがするわけね。あまり飲まないようにって言ったのに。あなたのお酒の強さも思ったほどじゃないみたいだし」

「そんなに飲んでないよ。須藤旭と薫の二人が多く飲んでたんだ。家に帰ろう」

彼は答えながら、彼女を抱いて家の中へ向かった。

……

持ち帰ったワンタンはまだ温かく、彼はそれをすぐに開けて食べ始めた。彼女は彼の向かいに座り、頬杖をついて彼が食べるのを見つめ、その眼差しは穏やかで温かだった。

藤崎輝は顔を上げて彼女を見ると、一つワンタンを彼女に差し出した。彼女は気持ちよく口を開けて食べた。

「どうしてそんな風に見てるの？藤崎さんが最近かっこよくなったとでも？」

彼女が食べるのを見て、彼はついに低く笑い、冗談を言った。

夏子さんは口の中の食べ物を飲み込み、バラ色の唇を軽く噛み、興味深そうに彼を一瞥して、軽く咳払いをし、冷静で真剣な口調で言った。「藤崎さん、私、突然とても重要なことに気づいたの」

「ん？」

彼は眉を上げて彼女を見つめながら、優雅にスプーンのワンタンを食べた。

「気づいたの……あなた、太、っ、た、わ！」