第421章 過ぎ去りし美しきもの(三)

二人はこのように一言一句と雑談を始めた。

しかし星野夏子は急いで食事を済ませ、ウェイターが持ち帰り用の食事を持ってきた時には、彼女はすでに食べ終わって立ち去っていた。

急いで会社に戻った時には、すでに午後1時近くになっていた。まだ勤務時間ではなかったため、会社は静まり返っていた。星野夏子は荷物を持って直接最上階へ向かった。

「星野監督!」

ちょうどドアに着いたところで、藤崎輝のオフィスから書類を抱えて出てきた秘書と出くわした。

星野夏子は軽く頷いて、「藤崎取締役は中にいますか?」と尋ねた。

秘書は頷いて笑いながら、「はい、いらっしゃいます、星野監督」と答えた。

星野夏子はそれからドアを押して中に入った。

入り口に立つと、彼がデスクの前に座って忙しく作業している姿が見えた。指先がキーボードを叩く音が、この静かな空間の中で特に鮮明に響いていた。