第488章 黄ばんだ写真（二）

楊勝のこの言葉に、大野琴子の目には動揺の色が見え始め、しばらく考えた後、彼女はようやく小声で言った。「藤崎輝という人物は測り知れない深さがある。斉藤惇自身でさえ彼に対してはかなり慎重に接している。しかし、この恨みについて言えば、斉藤惇の方が彼をもっと恨んでいるはずよ。あの時の事故は主に彼の冷酷さが原因だったのだから、そうでなければ……」

「まあいいわ、できれば彼とはなるべく接触を避けたいわ。彼は私に不安を感じさせる。斉藤惇の方がどういう態度を取るか見てみましょう。古川沙織のことをよく調査するように言って、必ず斉藤峰を見つけなさい！私はずっと疑っていたの、この斉藤峰はきっと死んでいないわ。そうでなければ斉藤惇のあの老いぼれも礼に実権を与えず、会社の継承についても何も言わないはずがない。もしこの老いぼれが本当に斉藤峰のために道を敷こうとしているなら、私大野琴子が同意するかどうかも考えるべきね！」

大野琴子の口調は冷たく力強かった——

斉藤凱は斉藤礼のものであり、誰も奪うことはできない！

「はい、大野社長！わかりました！」

「斉藤惇はあの事故以来、ずっと引きこもりがちだった。私は彼が斉藤峰のことで落ち込んでいるのだと思っていたけど……この数年、会社の古参たちが彼の方に流れていることも少なくない。私たちは注意する必要があるわ。特に彼が月影を買収したこと、この件は非常に奇妙に感じるの。月影はただの空っぽの枠組みに過ぎないのに……もしかして、彼は岡田海斗との関係のためなの？どう考えても不可解だわ！」

「大野社長、お忘れなく、岡田家には映像部門を管理している人がいます。ですから、おそらく斉藤社長はそれを考慮したのでは？」

山田勝はためらった後、そう答えた。

「まあいいわ、すでにやったことだから、様子を見ましょう。しっかり監視していればいいわ。それから、礼に古川沙織についての情報を絶対に知らせないで。最近は平穏ではないから、彼には仕事に集中して、早く会社の取締役会の承認を得てほしいの。そうすれば早く斉藤凱を引き継ぐことができるから。」

……

藤崎家の旧邸に戻った時、大野恵子は家にいなかった。家には藤崎悠一人だけで、藤崎川と松本朋香も公務で忙しく、朝早く出て夜遅く帰るような生活だった。