第503章 私は季野桐子(二)

「君のことは少し覚えているよ、季野桐子。あの特訓キャンプの上位3人の一人で、実力は悪くなかった」

藤崎輝は簡単に評価した。彼は須藤旭や渡辺薫たちとその訓練を終えた後に退役し、今では5、6年が経っていた。当時この季野桐子は新兵連から推薦されてきたようで、18、19歳くらいの年齢だった。数年があっという間に過ぎ、今では20代半ばになっていた。外見は当時の幼さが抜け、今では鋭さと深みが増していた。

「藤崎教官は記憶力がいいですね」

季野桐子は冷淡に答えた。

藤崎輝は淡々と微笑み、手元の書類を置いて、彼女を横目で見ながら言った。「君の状況については、真が全て私に説明してくれた。君の身のこなしは素晴らしく、洞察力も高い。対諜報能力も強い。あらゆる面で私は満足している。真も君に大まかな任務内容を伝えたと思うが」