第505章 来訪（一）

その後、星野夏子は藤崎輝に早く二階に上がって休むよう命じられたが、彼は彼女に薬を飲ませることも忘れなかった。

しかし、それでも星野夏子は苦しみを味わうことになった。夜中に高熱を出してしまったのだ。藤崎輝はちょうど眠りに落ちていたが、突然抱きしめている彼女の様子がおかしいことに気づいた。呼吸が重く、体温が恐ろしいほど高かった。急いで起き上がって確認すると、彼女はすでに冷や汗で全身びっしょりになっていた。

急いで薬を飲ませ、一晩中看病し、ようやく明け方になって熱が下がった。

翌朝目覚めた時、藤崎輝は出勤せず、木村大輔に書類を楓の館に持ってくるよう指示し、自宅で仕事をしながら彼女の世話をした。そんな時、須藤旭から夜に一緒に飲みに行こうという電話がかかってきた。藤崎輝が家にいると伝えると、須藤旭はすぐに車で駆けつけ、いくつかの珍しい食材も持ってきた。

今、楓の館のリビングで、藤崎輝はソファに真っ直ぐ座り、集中した眼差しでノートパソコンの画面を見つめ、素早くキーボードを打っていた。そのすぐ隣には、お茶を静かに飲んでいる須藤旭が座っていた。

「須藤科長はかなり忙しいはずだけど、今日はどうして時間があって私のところに来たんだ？」

普段、兄弟たちはみな忙しく、集まりたいと思っても、夜か貴重な週末にしか機会がなかった。

「君に会いに来ただけだ。いけないのか？」

須藤旭は彼をちらりと見て、お茶を一口飲んだ。

藤崎輝はしばらく冷ややかに彼を見つめ、そして笑った。「おじいさんから厳命されたのか？」

それを聞いて、須藤旭はため息をついた。「ここ数日よく考えてみたんだ。実は年配者の考えも理解できる。姉さんも昨晩わざわざ帰ってきて、長々と説教してくれたよ。」

「家族はみんなそうだよ。君は私や薫よりも楽な方だ。政治の道には政治の良さがあり、ビジネスにはビジネスの難しさがある。君は今ちょうど安定してきたところだ。まずは事業を確立し、それから家庭を持つというのが彼らの考えだろう。」

藤崎輝は最後のデータを入力し、保存してからパソコンを閉じ、振り向いて皮肉っぽく須藤旭を見た。

「やめろよ！お前もそんなこと言うのか。昔は遊び尽くしてから結婚すると断言していた一人じゃないか！」

須藤旭は不満そうに彼を睨み、イライラしながら手に持っていたカップを置き、ソファに身を投げ出した。