第520章 犯罪動機?(その一)

彼女は無意識に顔を上げ、入り口の方を見た。案の定、しばらくすると、男性がドアを開けて入ってくる姿が見えた。

彼の清潔感のある背筋の伸びた姿が、薄暗い街灯の光の下をすばやく通り過ぎ、彼女の前で足を止めた。

「どうして外に出てきたんだ?床は冷たいぞ、立ちなさい!」

彼女が口を開く前に、低い叱責の声が聞こえてきた。しかし、その声音には淡い思いやりの温かさが含まれていた。そう言いながら、彼は彼女の腕をつかんで引き上げた。

「大丈夫よ、真冬じゃないんだから。どうしてそんなに遅かったの?長く待ったわ...」

彼女は垂れ下がった髪をかき上げ、顔を上げて彼を見た。その声には少し不満の色が混じっていた。

「道が少し渋滞していたんだ。中に入ろう、外は少し寒い。君はやっと回復したばかりだから。」

彼は小さく笑い、手を伸ばして彼女の痩せた肩を抱き寄せた。彼の目には愛情に満ちた温かな光が満ちており、先ほどの冷たさとは別人のようだった。

「そんなに弱くないわよ。泥で作られたわけじゃないんだから。」

彼女は彼を白い目で見たが、彼に抱かれたまま中へ歩いていった。

食卓には、まだ少し温かさの残っている料理が並んでいた。再度温め直す必要はなさそうだった。

星野夏子は半分料理音痴で、得意な料理はほとんどなく、簡単な家庭料理を数品作るだけだった。

結婚してからは、ほとんど彼が台所に立っていた。この男性は少し潔癖症があり、特に食事に関しては他人が作ったものをあまり好まず、自分でやることを習慣にしていた。一つには、これを一種の気晴らしとして楽しみ、二つには、彼女のために料理を作ることも彼にとっては楽しいことのようだった。

仕事や必要な付き合い、娯楽を除けば、彼はある意味家庭的な男性で、暇な時はほとんど家にいて、ゲームをしたり本を読んだりしており、他のお金持ちの若者たちとは大きく異なっていた。実際、結婚してから半年以上経つが、星野夏子は彼が騒がしい娯楽施設に出入りするのを見たことがなかった。クラブに行くとしても、須藤旭や渡辺薫たち兄弟と飲んだり、カードゲームをしたりするだけだった。

「なぜ私を見つめているの?これは何?」