第551章 発見

藤崎輝の言葉が落ちると、真はすぐに驚き、信じられないという様子で言った。「それはありえないでしょう。この紗蘭さんはあの藤田さんに対して……」

「私は人に斉藤惇の数年間の資料を調査させた。黒田新蘭が今住んでいるあのマンションは、当初は斉藤惇の名義から彼女に秘密裏に譲渡されたものだ。斉藤惇は愛人に対していつも気前がよかった。これで思い出したが、以前黒田新蘭と斉藤惇の協力関係が破綻したのも、おそらく大野琴子の干渉が原因だったのかもしれない」

「どうしてですか？若様、あなたの言っていることは、この斉藤惇がもしかしたらあの藤田さんなのではないかということですか？」

真の表情はすぐに厳しいものになった。

「今結論を出すのはまだ早い。ただ斉藤惇と黒田新蘭の関係が並々ならぬものだということは証明できる。もしこの藤田さんが本当に斉藤惇だとしたら、君の義姉が以前経験した一連の事故にも説明がつく。彼は斉藤峰の件で私に仕返しをしようとしていた、これが動機だ」

藤崎輝は考えながら答えた。

「斉藤惇……もし本当にそうだとしたら、すべてが筋が通りますね」

「そういうことだから、私はこの件が単純ではないと感じている。こうしよう、何とか斉藤惇と大野琴子の両方に黒田新蘭のことを知らせて、彼らの反応を見てみろ。それから、叔母が以前この斉藤惇と知り合いだったかどうかも調べてくれ」

藤崎輝の言葉が落ちると、真は一瞬怯んだ後、すぐに頷いた。「はい、若様」

そう答えた後、真は黙って退出した。

清川に戻ったのは、ちょうど昼休みの時間だった。星野夏子が車から降りたところで、藤崎輝から電話がかかってきて、直接彼のオフィスに上がるよう言われた。

夏子は承諾し、自分のオフィスに一度戻った後、午後の会議で使う資料を持って、ゆっくりと階段を上がった。

藤崎輝のオフィスでは、すでに昼食が用意されており、彼女が上がってくるとすぐに、藤崎輝は彼女と一緒に食事をするために近づいてきた。

「どうしたの？何か考え事をしているようだけど、誰かに何かされたの？」

濡れタオルを彼女に渡しながら、彼は彼女の様子がいつもと違うことにすぐに気づいた。

星野夏子はタオルを受け取り、少し呆然としながら手を拭き、顔を上げて彼を見つめ、少し物憂げに言った。「私が病院で誰に会ったと思う？」

「誰に会ったの？」