第38章 自分で吉を育てたい

藤堂辰也は着替えのシャツを取り出し、横目で彼女を一瞥した。その眼差しは冷淡だった。

「何の用だ、今話せ」

「夜に話したいんだけど……」彼女はきちんと話し合う必要があったから。

「若菜、昨夜俺が帰らなかったから、寂しくて辛かったのか?でも今夜は無理だ、用事があって帰れない。明日の夜に帰ってきて満足させてやるよ」藤堂辰也は意地悪く彼女に言った。

安藤若菜はそんなことで争いたくなかった。彼女は淡々と頷いた。「わかったわ、じゃあ明日話しましょう」

彼女はいつもこうだった。何に対しても冷淡で、それが藤堂辰也を不快にさせ、嫌悪感を抱かせていた。

シャワーを浴び、服を着替えると、藤堂辰也はすぐに出て行った。

安藤若菜は彼がどこへ行くのか尋ねなかった。彼女はそんなことを気にかけないし、これからはなおさら気にする必要もない。